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風邪は正式には「風邪症候群」といって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などを主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合がありますが、発熱はあっても微熱程度で、頭痛や全身倦怠感などの全身症状も軽いという特徴があります。原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。きちんと治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、治ったと思って無理をせず、完治するまで来院されることをお勧めします。熱を含めた症状の経過をしっかり観察することが大切です。
胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、一部に細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)が見られます。ウイルスが付着した料理を食べたり、手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染し、冬場、幼稚園や小学校などで集団発生することも少なくありません。
症状は下痢、腹痛、嘔吐、発熱が多く、治療は脱水を予防し、症状に合わせた内服薬を服用します。細菌性が疑われる場合にも通常は対症療法が推奨されますが、重症例や特定の細菌感染では抗生物質を使用することもあります。
細菌やウイルスの感染により肺におきる急性の炎症のことです。間質性肺炎、薬剤性肺炎などもありますが、これらは感染症ではなく、別の疾患として扱われることが多いです。肺炎は世界的に最も一般的な死因の一つであり、日本でも主要な死因の一つです。症状には、発熱、咳、痰、息苦しさ(呼吸困難)、胸の痛み(胸痛)などがあります。ただし、高齢者の場合は、典型的な肺炎の症状があまりなく食欲の低下や意欲の低下などが主な症状のことがあり、肺炎を疑いにくいことがあるので注意が必要です。
尿は左右2つの腎臓でつくられ、腎臓のなかの腎盂という部屋に集められます。そして、尿管という細い管を下って膀胱に溜まり尿道から体の外に出されます。この尿が排出される通路を尿路といいます。尿路感染症とは、尿路に細菌が侵入し、増殖して炎症を起こしたものをいいます。
免疫が落ちていたり、おしっこがうまく出せなかったり、おしっこを我慢し過ぎた場合、細菌が繁殖してしまいます。感染症の場所によって膀胱炎と腎盂腎炎に分類されます。
貧血は、血液中の赤血球数が不足したり、赤血球中のヘモグロビン量が低下したりすることで、全身に酸素を十分に供給できなくなる状態をいいます。貧血になることで、脱力感、息切れ、めまい、などのさまざまな症状があらわれます。また、顔色は血液の色を反映しているため、鉄分不足の貧血になるとヘモグロビンが少なくなり、色素が減って顔色は赤みが少なくなり、顔色が悪く見えるようになります。
アレルギー性鼻炎には、スギ花粉やヒノキ花粉などが原因で起こる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉、ハウスダストなど)」と、ハウスダストなどが原因で季節に関係なく起こる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。さらっとした透明の鼻水、鼻づまり、発作的に起こる連発するくしゃみが主な症状で、空気中に浮遊する原因物質(アレルゲン)が鼻の粘膜から体内に入ることによって起こります。アレルギー性鼻炎の治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」があります。また、症状の原因となるダニやスギ花粉などのアレルゲンを回避する環境を整えることも重要です。
気管支が慢性の炎症により狭窄や過敏状態を引き起こし、発作性の呼吸困難や咳・痰を生じる病気で、その背景にはアレルギーが関与していることが多いと考えられています。治療としては、気管支拡張薬で狭くなった気管支を拡げることだけでは不十分で、ベースにある炎症を抑える「抗炎症療法」が最も大切です。ぜんそくの患者様では、たとえ症状が無くても気管支の炎症が水面下で続いていることが多く、抗炎症療法を一定の期間止めずに続けることが、難治化を予防する点からも大変重要です。現在の治療では、抗炎症療法の中心となるのは吸入ステロイド薬です。吸入方法を正しく理解することで、安全に効果的に治療を進めることができます。
主に喫煙や大気汚染などの長期的な刺激によって引き起こされる肺の慢性疾患です。この疾患は、気道が狭くなり、呼吸が困難になることを特徴としています。COPDは一般に、慢性気管支炎と肺気腫の2つの疾患が進行することで発症します。これらはしばしば同時に存在し、肺機能の低下を引き起こします。気道の炎症によって咳や痰が長期間続く状態です。気道が炎症を起こすことで、粘液が過剰に分泌され、気道が詰まりやすくなります。これにより、呼吸がしづらくなり、咳や痰が増加します。一方、肺気腫は、肺の中の小さな気嚢(肺胞)が破壊され、肺の弾力性が失われる疾患です。これにより、酸素を効率よく取り込むことができなくなり、息切れや呼吸困難が生じます。肺気腫が進行すると、空気を十分に排出できなくなり、肺に二酸化炭素が滞留し、呼吸がさらに難しくなります。治療には、まず禁煙が最も重要です。喫煙を続ける限り、症状は進行し続けます。COPDは完全には治癒しませんが、適切な治療を行うことで症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。早期発見と治療が重要です。
十分に睡眠を取ることが出来る環境が整っているにも関わらず、寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目覚めてしまうといった不眠症状が生じており、日中に眠気や集中低下、疲労感が出現し、学業や仕事のパフォーマンスが低下している状態のことを不眠症と言います。身体的な問題があり不眠症状が出現することもありますし、他の精神疾患による二次的な不眠症状が出現することもあります。身体的な問題や他の精神疾患が原因での不眠症状は原因となる疾患の治療が優先されます。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。その理由は、肝臓の病気はある程度進行しないと症状が現れないことが多いからです。そのため、肝臓に異常が起こっても気づきにくく、肝臓の病気が見つかったときにはすでに症状が進んでいることも少なくありません。ですから、健康診断などで定期的に肝臓が正常に機能しているかどうかを確認することはとても重要です。健康診断の結果、肝機能の異常を指摘され、要治療・要精密検査の指示のあった方は、症状がなくても速やかに医療機関を受診してください。経過観察の指示があった方につきましても、指示されている期間内に受診することをお勧めします。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など様々な心臓の病気によって、このポンプの働きに障害が生じ、色々な症状を引き起こしている状態を心不全といいます。心不全は、「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられ、急性心不全は、短期間で激しい呼吸困難などの症状が現れることから、重症の場合、命に関わる危険性が高くなります。一方、慢性心不全は、ちょっとした動作でも動悸や息切れがしたり、疲れやすくなったりします。咳や痰が止まらない、むくみが出るといった症状が現れることもあります。
慢性心不全は生活習慣病との関連性が高く、高齢になるほど発症する方が増えてくる傾向があります。狭心症や心筋梗塞が原因であれば、冠動脈にステントを挿入したり、場合によって冠動脈バイパス手術をしたりすることが必要です。心臓弁膜症では弁を修復したり、取り換えたりする手術が必要となります。
慢性心不全の治療では、利尿薬を使用し、体内の余分な水分を排出することで心臓の負担を軽減し、息切れやむくみなどの症状を和らげます。また、近年ではアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やSGLT2阻害薬といった新しい薬が登場し、心臓の働きを改善しながら、長期的な予後の向上にも効果があることが分かっています。さらに、従来から一般的な心不全薬であるアルドステロン拮抗薬やβ遮断薬も組み合わせることで、心不全の進行を抑え、より効果的な治療が行えるようになっています。現在の心不全治療は、こうした新しい薬を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を進めることが重要になっています。
心臓の冠動脈が動脈硬化などによって狭くなると、心筋に送られる血液量が不足し、心筋が酸素不足となります。このときの痛みが狭心症の痛みです。冠動脈が完全に詰まってしまうと心筋梗塞になります。狭心症は、「労作性狭心症」と「安静時狭心症」に分けられ、労作性狭心症は、「階段を上ると胸が締めつけられるように痛くなる」、「重いものを持ち上げたり、坂道を上ったりすると胸が苦しく痛む、安静にすると楽になる」という症状がみられます。痛みの特徴としては圧迫感や絞扼(こうやく)感などがあり、前胸部、みぞおち、肩、頸(くび)などに生じます。歯やのどが痛むケースもあります。痛みは多くの場合、数分で治まります。安静時狭心症は、夜、就眠中、明け方に胸が苦しく押さえつけられたような発作が起こります。多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣を起こして収縮し、血流が一時的に途絶えるために生じると考えられています。冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)ともいいます。痛みの性質や部位などは労作性狭心症と同様です。このような症状がある場合、早めに検査を受けることが大切です。
治療には薬物療法、カテーテル治療、外科手術があり、患者様に合わせた治療が選択されます。軽度の狭心症では薬物療法が基本となります。血流を改善する血管拡張薬や心臓の負担を軽減するβ遮断薬などを使用します。
薬物療法で治療が難しい場合は、ステント(金属製のコイル)を用いたカテーテル治療が検討されます。開胸せずに行うため手術より体への負担が軽減します。PCIは手首や足の付け根から血管にカテーテルを挿入し、患部でバルーンを膨らませ、冠動脈を拡張しステントを留置します。
不整脈は病名ではなく病態の総称で、心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態をいいます。大きく分けて脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の3つがあります。不整脈は治療の必要のないものから危険なものまで様々です。不整脈は健康成人では一般的で、不整脈がありながらご自身で気付かず、身体検査などではじめて不整脈を指摘される方もいます。一方、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発したりするものもあります。不整脈を指摘されたときや脈の不整、激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。
また、近年では、スマートウォッチなどでも不整脈を検出できるようになり、日常的に心拍の異常をチェックできる機会が増えています。 これらのデバイスで不整脈を指摘された場合も、必ず医療機関を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。放置しても問題のない不整脈なのか、治療が必要な不整脈なのかを正しく判断することが重要です。
心臓の弁に異常が生じ、血液の流れに支障をきたす疾患です。心臓には4つの弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)があり、これらの弁は血液が逆流するのを防ぎ、適切に流れるように働いています。弁膜症は、弁がうまく開かず血液が流れにくくなったり、弁が完全に閉じず血液が逆流することによって引き起こされます。この疾患は、加齢による弁の変性や、リウマチ熱などの感染症が原因となることが多いですが、先天的に弁に異常を持つこともあります。弁膜症が進行すると、心臓にかかる負担が増加し、息切れやむくみ、動悸、胸痛などの症状が現れ、最終的には心不全を引き起こす可能性があります。治療としては、外科手術が推奨され、手術による弁置換や修復が行われます。治療の選択肢は、症状の程度や弁の状態によって異なり、早期に発見し適切な治療を受けることが重要です。
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢動脈疾患とも呼ばれています。足に冷感やしびれ、歩行時に痛みを感じる、という症状があり、重症化すると安静時にも症状が現れ、手足に潰瘍ができ壊死することもあります。とくに50歳以上の男性に多い傾向があり、喫煙・肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎不全などが原因と考えられています。
典型的な症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれている歩行障害です。
「間欠性」とは間隔をおいて起きたり起きなかったりすることで、「跛行」とは、びっこを引くという意味です。安静時や歩きはじめには痛みはありませんが、歩き続けているうちに痛みや疲労感を生じ、足を引きずるような歩き方になります。数分間休むと症状は軽減し、再び歩きはじめることができますが、歩きはじめるとまた痛みや疲労感を感じるということを繰り返します。痛みや疲労感は、股関節から足首にかけて起こります。とくにふくらはぎの疲れ、だるさ、痛み、こむら返りなどが起こり、おしりや太ももに同様の症状が生じることもあります。
閉塞性動脈硬化症の治療は重症度に応じて異なります。重症度を分類したFontaine分類では、以下のような指針が示されています。
I度(軽症)
禁煙をはじめとする動脈硬化危険因子の管理と治療
II度
薬物療法に加えて運動療法を行い、血流をよくするために血行再建術が必要かどうかを検討します。
IIIまたはIV度(重症)
薬物療法に加えて運動療法を行い、血流をよくするために血行再建術が必要かどうかを検討します。
寝ている間に繰り返し呼吸が止まる疾患です。睡眠中に10秒以上呼吸が停止することを睡眠時無呼吸といい、呼吸が浅くなることを低呼吸といいます。無呼吸や低呼吸が1時間当たり5回以上発生し、後述のような症状が出る状態を睡眠時無呼吸症候群といいます。
睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠が浅くなってしまい、日中に強い眠気や倦怠感を感じるようになります。そして、集中力や記憶力の低下、居眠りなどから、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。また、呼吸が停止すると、その度に体は低酸素状態になります。繰り返される低酸素状態は体にとって大きなストレスとなり、心臓をはじめとして体全体にとって重い負担となります。実際に、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧症や心臓病、不整脈、脳卒中の可能性を高め、放置していると死亡リスクが高くなることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群にはいくつか治療方法があり、症状の程度や原因、重症度に応じて選択します。
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