
症状から探す
症状から探す
風邪は正式には「風邪症候群」といって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などを主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合がありますが、発熱はあっても微熱程度で、頭痛や全身倦怠感などの全身症状も軽いという特徴があります。原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。きちんと治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、治ったと思って無理をせず、完治するまで来院されることをお勧めします。熱を含めた症状の経過をしっかり観察することが大切です。
胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、一部に細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)が見られます。ウイルスが付着した料理を食べたり、手指についたウイルスが口に触れたりすることで感染し、冬場、幼稚園や小学校などで集団発生することも少なくありません。
症状は下痢、腹痛、嘔吐、発熱が多く、治療は脱水を予防し、症状に合わせた内服薬を服用します。細菌性が疑われる場合にも通常は対症療法が推奨されますが、重症例や特定の細菌感染では抗生物質を使用することもあります。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など様々な心臓の病気によって、このポンプの働きに障害が生じ、色々な症状を引き起こしている状態を心不全といいます。心不全は、「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられ、急性心不全は、短期間で激しい呼吸困難などの症状が現れることから、重症の場合、命に関わる危険性が高くなります。一方、慢性心不全は、ちょっとした動作でも動悸や息切れがしたり、疲れやすくなったりします。咳や痰が止まらない、むくみが出るといった症状が現れることもあります。
慢性心不全は生活習慣病との関連性が高く、高齢になるほど発症する方が増えてくる傾向があります。狭心症や心筋梗塞が原因であれば、冠動脈にステントを挿入したり、場合によって冠動脈バイパス手術をしたりすることが必要です。心臓弁膜症では弁を修復したり、取り換えたりする手術が必要となります。
慢性心不全の治療では、利尿薬を使用し、体内の余分な水分を排出することで心臓の負担を軽減し、息切れやむくみなどの症状を和らげます。また、近年ではアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やSGLT2阻害薬といった新しい薬が登場し、心臓の働きを改善しながら、長期的な予後の向上にも効果があることが分かっています。さらに、従来から一般的な心不全薬であるアルドステロン拮抗薬やβ遮断薬も組み合わせることで、心不全の進行を抑え、より効果的な治療が行えるようになっています。現在の心不全治療は、こうした新しい薬を中心に、患者様一人ひとりに合わせた治療を進めることが重要になっています。
心臓の冠動脈が動脈硬化などによって狭くなると、心筋に送られる血液量が不足し、心筋が酸素不足となります。このときの痛みが狭心症の痛みです。冠動脈が完全に詰まってしまうと心筋梗塞になります。狭心症は、「労作性狭心症」と「安静時狭心症」に分けられ、労作性狭心症は、「階段を上ると胸が締めつけられるように痛くなる」、「重いものを持ち上げたり、坂道を上ったりすると胸が苦しく痛む、安静にすると楽になる」という症状がみられます。痛みの特徴としては圧迫感や絞扼(こうやく)感などがあり、前胸部、みぞおち、肩、頸(くび)などに生じます。歯やのどが痛むケースもあります。痛みは多くの場合、数分で治まります。安静時狭心症は、夜、就眠中、明け方に胸が苦しく押さえつけられたような発作が起こります。多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣を起こして収縮し、血流が一時的に途絶えるために生じると考えられています。冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)ともいいます。痛みの性質や部位などは労作性狭心症と同様です。このような症状がある場合、早めに検査を受けることが大切です。
治療には薬物療法、カテーテル治療、外科手術があり、患者様に合わせた治療が選択されます。軽度の狭心症では薬物療法が基本となります。血流を改善する血管拡張薬や心臓の負担を軽減するβ遮断薬などを使用します。
薬物療法で治療が難しい場合は、ステント(金属製のコイル)を用いたカテーテル治療が検討されます。開胸せずに行うため手術より体への負担が軽減します。PCIは手首や足の付け根から血管にカテーテルを挿入し、患部でバルーンを膨らませ、冠動脈を拡張しステントを留置します。
不整脈は病名ではなく病態の総称で、心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態をいいます。大きく分けて脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の3つがあります。不整脈は治療の必要のないものから危険なものまで様々です。不整脈は健康成人では一般的で、不整脈がありながらご自身で気付かず、身体検査などではじめて不整脈を指摘される方もいます。一方、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発したりするものもあります。不整脈を指摘されたときや脈の不整、激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。
また、近年では、スマートウォッチなどでも不整脈を検出できるようになり、日常的に心拍の異常をチェックできる機会が増えています。これらのデバイスで不整脈を指摘された場合も、必ず医療機関を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。放置しても問題のない不整脈なのか、治療が必要な不整脈なのかを正しく判断することが重要です。
心臓の弁に異常が生じ、血液の流れに支障をきたす疾患です。心臓には4つの弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)があり、これらの弁は血液が逆流するのを防ぎ、適切に流れるように働いています。弁膜症は、弁がうまく開かず血液が流れにくくなったり、弁が完全に閉じず血液が逆流することによって引き起こされます。この疾患は、加齢による弁の変性や、リウマチ熱などの感染症が原因となることが多いですが、先天的に弁に異常を持つこともあります。弁膜症が進行すると、心臓にかかる負担が増加し、息切れやむくみ、動悸、胸痛などの症状が現れ、最終的には心不全を引き起こす可能性があります。治療としては、外科手術が推奨され、手術による弁置換や修復が行われます。治療の選択肢は、症状の程度や弁の状態によって異なり、早期に発見し適切な治療を受けることが重要です。
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢動脈疾患とも呼ばれています。足に冷感やしびれ、歩行時に痛みを感じる、という症状があり、重症化すると安静時にも症状が現れ、手足に潰瘍ができ壊死することもあります。とくに50歳以上の男性に多い傾向があり、喫煙・肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎不全などが原因と考えられています。
典型的な症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれている歩行障害です。
「間欠性」とは間隔をおいて起きたり起きなかったりすることで、「跛行」とは、びっこを引くという意味です。安静時や歩きはじめには痛みはありませんが、歩き続けているうちに痛みや疲労感を生じ、足を引きずるような歩き方になります。数分間休むと症状は軽減し、再び歩きはじめることができますが、歩きはじめるとまた痛みや疲労感を感じるということを繰り返します。痛みや疲労感は、股関節から足首にかけて起こります。とくにふくらはぎの疲れ、だるさ、痛み、こむら返りなどが起こり、おしりや太ももに同様の症状が生じることもあります。
閉塞性動脈硬化症の治療は重症度に応じて異なります。重症度を分類したFontaine分類では、以下のような指針が示されています。
I度(軽症)
禁煙をはじめとする動脈硬化危険因子の管理と治療
II度
薬物療法に加えて運動療法を行い、血流をよくするために血行再建術が必要かどうかを検討します。
IIIまたはIV度(重症)
薬物療法に加えて運動療法を行い、血流をよくするために血行再建術が必要かどうかを検討します。
TOP